
「旅行に行っている間、うちの車を誰かに貸せたらいいのにな…」
そんな風に思ったこと、ありませんか?🚗💭
使っていない車が駐車場にただ置かれているのは、もったいない気がしますよね。
「ちょっと貸してお小遣いになればいいのに」と考える人も多いでしょう。
でも、実はこの“車を貸す”という行為、
簡単にできそうでいて、法律上はいくつかのハードルがあるんです。
この記事では、初心者でも分かるように、
「自家用車を他人に貸すことは本当にできるのか?」
そして「実際にやるには何が必要なのか?」を、
わかりやすく順を追って解説します。
まず知っておきたい基本ルール
日本では車のナンバーの色で「使い方」が決まっています。
| 種類 | ナンバー色 | 使い方 |
|---|---|---|
| 白ナンバー | 自家用 | 自分や家族だけで使う |
| 緑ナンバー | 営業用 | 人やモノをお金をもらって運ぶ・貸す |
ここがポイントで、
白ナンバー(自家用車)をお金をもらって貸すのは法律で禁止されています。
つまり、「友達に無料で貸す」はOKだけど、「お金をもらって貸す」はNG❌
合法的に自家用車を貸すためにはどうすれば良いの?
お金をもらって車を貸すには、
国土交通省の許可が必要です。
この許可の名前は──
「自家用自動車有償貸渡業(じかようじどうしゃゆうしょうかしわたしぎょう)」
つまり、レンタカー事業の許可を取ればOKです!
レンタカー事業の許可を取るための条件
レンタカー事業の許可を取るためには以下のような条件が必要となります。
-
営業所・駐車場があること
→ 貸し出し車両をきちんと管理できる場所が必要。
→ 例えば自宅の車庫でもOKな場合があります(自治体による)。 -
車検・保険などの管理体制
→ 定期的な点検や整備を行うこと。
→ 自賠責だけでなく「対人・対物無制限」の任意保険も必須。 -
貸渡簿・点検記録簿などの保管義務
→ 貸すたびに誰に貸したか・どんな状態だったかを記録する必要があります。 -
人を雇う場合は運転者管理体制も必要
レンタカー事業許可の手続きの流れ(ざっくり)
-
運輸支局に申請する(地域の陸運局)
-
営業所・駐車場を用意する(きちんと車を管理できる場所)
-
保険をレンタカー用に切り替える
-
点検記録簿・貸渡簿などの管理体制を整える
-
許可が下りたら営業開始!
この手続きでだいたい1〜2か月くらいかかります。
費用の目安(初期+維持)
| 費用項目 | 金額の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 登録・申請費用 | 約0〜3万円 | 申請に必要な印紙や書類費など |
| 保険の変更 | 年10〜20万円 | 「レンタカー事業者向け」の保険は高め |
| 定期点検・整備 | 年3〜5万円 | 安全基準が厳しいため、車検や点検が必須 |
| 税金・自動車保険料 | 年5〜10万円 | 車を所有している限りかかる固定費 |
| 雑費(帳簿・表示など) | 数千円〜1万円 | 貸渡簿・プレート表示などの備品類 |
合計すると、年間維持費は15〜30万円程度かかるイメージです。
(もちろん車種や保険内容で上下します)
現実的な本音を言うと
以前は「Anyca(エニカ)」などのサービスを使えば、個人でも簡単にカーシェアができる仕組みがありました。
ただし、これは“お小遣い程度の個人間シェア”として成り立っていたもので、
現在は規制強化や保険制度の見直しにより、
以前のように気軽に貸し出すことは難しくなっています。
先述したような初期費用や維持費、また手間を考えると、
「旅行の1〜2週間だけ貸したい」みたいなケースでは割に合わないことが多いです。
それでも本格的にやりたい人は?
きちんと許可を取り、「レンタカー事業者」として正式に登録すれば、
旅行中などの空き時間に自分の車を貸すことは合法的に可能です。
ただし、それは副業というより小規模ビジネス。
確定申告や会計処理も必要になります。
また、この「自家用自動車有償貸渡業(=レンタカー事業の許可)」、
車の種類や年式によっても難易度が変わります。
次の章では種類や年式による許可のポイントを見ていきましょう。
車の種類・年式による許可のポイント
① 登録区分:普通車か軽自動車か
-
どちらでも申請可能です。
ただし、車検や保険の条件が変わります。 -
軽自動車でもOKですが、事業登録時には
「事業用に十分な整備体制・保管場所」があることを証明する必要があります。
つまり、軽自動車1台でも申請はできるけれど、
「家庭用のまま」ではなくレンタカーとして扱うための体制が必要です。
② 年式(古さ)による制限
-
車が古すぎる場合は、許可が下りにくくなることがあります。
-
国の基準で「◯年以内」と明示はされていませんが、
実際の審査では以下のような傾向があります。
| 年式 | 審査上の印象 |
|---|---|
| 登録から5年以内 | 問題なし・スムーズに許可されやすい |
| 登録から5〜10年 | 状態・整備記録次第でOK |
| 10年以上 | 原則NGまたは整備証明書・点検記録を厳しくチェック |
つまり、古くても整備・点検がしっかりしていれば可ですが、
「安全性を確保できること」が何より重要です。
③ 改造車・キャンピングカー・輸入車の場合
-
改造内容によっては不可です。
(安全基準を満たさない改造はNG) -
キャンピングカーは、レンタカーとして扱う場合は
特別仕様の保険と車両区分変更(8ナンバー)が必要になることも。 -
外車もOKですが、部品調達や整備体制を説明できないと許可が遅れるケースがあります。
④ 登録名義・所有関係も重要
-
車がローン中(所有権がディーラーや信販会社)の場合、
勝手にレンタル事業に使うのはNG。 -
所有者と使用者が異なる場合も、所有者の同意書が必要です。
審査で重視される3つのポイント
-
安全性(点検・整備)
→ 定期点検記録簿が整っているか、整備士のチェック体制があるか。 -
保険(対人・対物無制限+搭乗者補償)
→ レンタカー用保険への切り替え必須。 -
管理体制(貸出簿・点検記録)
→ 個人でも「いつ・誰に・どんな状態で貸したか」を記録できる仕組みが必要。
よくある質問(Q&A)
Q1. 自宅の駐車場でも営業所にできますか?
✅ 可能な場合もあります。
ただし、貸出管理(記録・書類保管)をちゃんと行える環境が必要で、
地域によっては「営業所」として認められないこともあります。
→ 最寄りの「運輸支局」で要確認です。
Q2. 友達や知り合いにお金をもらって貸すのは?
🚫 ダメです。
お金をもらった時点で「有償貸渡」にあたり、許可が必要です。
事故が起きた場合、保険も適用外になる危険があります。
Q3. 万が一、貸した相手が事故を起こしたら?
保険に入っていればカバーされますが、
普通の自動車保険ではNG。
「レンタカー事業者向け保険」じゃないと適用されません。
つまり、無許可で貸した場合、全額自己負担になる可能性も。
Q4. 1台でもレンタカー事業できますか?
✅ 可能です!
ただし、営業所・駐車場・点検体制などはすべて必要となります。
申請は行政窓口で相談に相談したり、行政書士に有料で依頼することもできます。
Q5. 以前の「Anyca」みたいなサービスはもうないの?
ほぼありません。
以前は「個人間カーシェア」として成立していましたが、
事故対応や保険トラブルが多く、これらのサービスは2025年現在、日本では停止状態です。
まとめ
自家用車を使わない間に貸して収益化する――
これは一見シンプルですが、実際には法律・許可・保険の壁があります。
白ナンバーのまま有償で貸すのはNG。
正式に行うには、「自家用自動車有償貸渡業」の許可取得が必要です。
つまり、「旅行中だけ軽く貸す」というより、
きちんとした小規模レンタカー事業として準備することが求められます。
それでも、条件を満たせば個人でも始められますし、
「空き時間に資産を活用する」という新しい選択肢にもなります。
まずは、最寄りの運輸支局や専門家に相談して、
自分のライフスタイルに合った形を見つけてみてください。
| まとめ |
|---|
| 🚫 自家用車(白ナンバー)はお金をもらって貸せない |
| ✅ 「レンタカー事業許可」を取れば合法的に貸せる |
| 💰 初期費用:約10〜20万円、維持費:年15〜30万円ほど |
| ⏳ 手続き期間:約1〜2か月 |
| ⚠️ 無許可で貸すと保険が効かない&違法リスクあり |
| 💡 以前あったカーシェアサービスは現在は日本では使えない |
