妊娠中に飛行機に乗って大丈夫なのか?
赤ちゃんに影響はないのか?
はじめての妊娠ならわからないことだらけで不安になりますよね。
私の友人のHさんもはじめての妊娠で19週の妊婦だった時に飛行機に乗る機会がありました。
心配だったHさんはしっかり調べて知識を身に付けて準備しておいたことで、何事もなく無事母子共に健康に出産することができました。
この記事ではHさんが教えてくれた話をもとに、妊娠中に飛行機に乗ることで起こる可能性のある2つのトラブルと、搭乗前にできる4つの準備をご紹介します。
妊娠中に飛行機に乗っても大丈夫?
妊婦が飛行機に乗っても良いかどうかというと、ダメではありません。
しかし、妊娠期間は何かと体調が不安定になりやすい期間です。
また、ママの体調だけではなく、お腹の中の赤ちゃんへの影響も気になりますね。
ここでは妊娠期間中、飛行機に乗るのに一番トラブルの起きにくい時期はいつなのか、赤ちゃんへの影響はどうなのか、みていきたいと思います。
飛行機に乗るのにベストな期間は?
妊娠期間10か月を通して、一番トラブルが起きにくいのが妊娠中期(妊娠16週~27週)といわれます。
俗に言う安定期で、流産の可能性がぐっと低くなります。
つわりが終わるママが多く、食欲も増えますね。
しかし安定期とは医学用語ではなく、妊娠中に安定の期間はありません。
妊娠中はいつでも体調が不安定なものですから、その期間に飛行機に乗るということは、何かしらのトラブルが起こる可能性があることを認識しておいた方が良いと思います。
赤ちゃんへの影響は?
飛行機に乗ると、地上から遥か上空に行くことになります。
また、空港での保安検査等、お腹の赤ちゃんに何か影響はないのでしょうか。
上空の放射線量
実は上空では、地上と比べると放射線量が多くなっています。
とはいっても、東京からニューヨークまでの飛行で浴びる放射線量は約0.19ミリシーベルトだそうです。
一方、毎日人が浴びている自然放射線量は年間2.4ミリシーベルトといわれているので、飛行機に乗ることで赤ちゃんに影響が出ることはなさそうです。
実際、客室乗務員と一般人の流産率はほぼ変わらない確率といわれています。
ボディスキャナーと手荷物検査
飛行機に乗る前には、必ず全員ゲート型のボディスキャナーを通過しますよね。
ボディスキャナーと、搭乗前の手荷物検査には放射線が使われています。
レントゲンと同じ要領ですね。
放射線を使用しているので、お腹の赤ちゃんに何か悪影響があるのではと心配するママもいるかと思います。
しかし、ボディスキャナーや手荷物検査での放射能はないに等しく、これによって流産や奇形児になるという影響はありません。
妊娠中に飛行機に乗ることで起こる可能性のあるトラブル
ここまでで、妊娠中に飛行機に乗ること自体はママにも赤ちゃんにも問題ないことがわかりました。
しかし妊娠中に飛行機に乗るということは、普段よりも確実にトラブルが起きやすい環境であることに違いありません。
妊娠中に飛行機に乗ることで起きるかもしれないトラブルは、2つあります。
- エコノミー症候群
- 気圧の変化による体調不良
それぞれどのようなトラブルなのか、どう予防すれば良いのか、みていきましょう。
トラブル① エコノミー症候群
エコノミー症候群は、長時間同じ姿勢でいることで起こります。
同じ姿勢で居続けることで静脈内に血栓ができて血流が悪くなり、始めは足や膝が腫れ、激しい痛みを引き起こします。
その後血栓がはがれて肺動脈をふさいでしまうと、胸の痛みや息切れ、さらに心臓発作に至ってしまいます。
妊娠中はもともとお産が近づくにつれて血が固まりやすくなっているので、よけいに血流が悪いものです。
さらに飛行機内は乾燥しているので身体の水分が蒸発しやすく、血栓ができやすくなっています。
エコノミー症候群の予防方法
エコノミー症候群を予防するには、
- ストレッチ
- 水分摂取
- 服装を工夫する
の3つの予防方法があります。
ストレッチは、30分に一回程度つま先を上下にうごかしたり、足首を回すことで血流を促進します。
引用元:東長崎駅前内科クリニック エコノミー症候群予防の運動
Hさんは、エコノミー症候群という言葉を聞いたことはありましたが、妊婦がなりやすいとは想像もしていませんでした。
このストレッチなら、お腹が大きくても、狭い機内でも簡単にできますね。
Hさんもこのストレッチを実践し、特に異変なく飛行機を降りることができました。
水分は、脱水症状を予防するので、ぜひこまめに摂りましょう。
その際、カフェインと炭酸飲料は利尿作用があるので避けてくださいね。
カフェインに利尿作用があることはよく知られていると思いますが、炭酸飲料も胃腸や膀胱を刺激するので、トイレが近くなってしまうそうです。
服装に関しては、身体はゆったりとした服、足元はひざ下までの着圧ソックスを用意すると良いでしょう。
女性は足の筋肉量が少ないため、ふくらはぎの筋肉を着圧ソックスでサポートすることで、筋肉が血液を押し戻す力を増やし、血流を良くしてくれます。
女性は何かと足がむくみやすいですし、妊娠中や出産後もむくみがひどくなることが良くあるので、一足持っていると便利かもしれませんね。
Hさんも、里帰りの機会に一足購入しました。
こちらは足首からふくらはぎにかけて、段階的に圧をかけてくれるので、より効果が期待できます。
気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
トラブル② 気圧の変化等による体調不良
飛行機に乗って上空まで上がると、気圧の変化を感じると思います。
体質にもよりますが、頭痛、吐き気、子宮の圧迫、頻尿が起こる可能性があります。
子宮の圧迫と頻尿は気圧の変化で胃腸が膨張するため引き起こされるのですが、子宮への刺激は痛みや切迫早産にも関連してくるので、心配ですね。
気圧の変化による体調不良の予防方法
服装はゆったりしたものを着て、マスクを着用しましょう。
マスクは機内の匂いからくる吐き気を予防したり、感染症の予防にもなります。
さらに前述のエコノミー症候群を予防するのに、乾燥を防ぐこともできます。
また、何かあってもすぐに移動したり客室乗務員を呼べるよう、通路側の席を確保したいですね。
機内にエチケット袋は常備されているかとは思いますが、席に着いたらあるかどうかを確認し、念のため予備を用意しても良いでしょう。
Hさんは幸い、機内で具合が悪くなることはありませんでした。
しかし、予約の際に通路側の席で予約したり、準備をしっかりしていたことで安心して搭乗することができたそうです。
搭乗前の準備
ここまで、飛行機に乗ることの赤ちゃんへの影響と、ママの体調面で起こるかもしれないトラブルをみてきました。
特にママの体調に関して、心配事があることがわかりましたね。
心配事を持ったまま飛行機に乗るのは、とても不安ですよね。
しかし搭乗前に、
- 医師に報告・相談しておく
- 母子手帳等の準備
- 各航空会社の規定をチェック
- 各航空会社のマタニティサポートをチェック
この4つの事前準備をしておくことで、ある程度不安を払しょくできるかと思います。
では具体的にどのような準備をすれば良いのか、みていきましょう。
医師に報告・相談しておく
飛行機に乗る可能性ができたら、必ずわかった時点でかかりつけの産婦人科医に報告しましょう。
かかりつけの産婦人科医ならあなたの体質や、妊婦健診の経過もしっかりわかっているので、飛行機に乗る際のアドバイスをもらえるかと思います。
また、何かあった時に医師にもすぐに状況を把握してもらえるよう、目的地や日程もお知らせしておきましょうね。
さらにHさんは、出発する空港と目的地の空港近くの産婦人科の、開いている時間等を事前に調べておきました。
事前に調べておけば、出先で急に受診が必要になっても慌てずに済みますね。
母子手帳等の準備
これは普段のお出かけの時にもいえるのですが、飛行機に乗るときは、必ず母子手帳・ママの保険証・パパや両親等の緊急連絡先を携帯しましょう。
母子手帳の中身も、妊娠の経過等をきちんと記入しておきます。
もしかしたら緊急時に、普段はかかっていない病院の方が中を確認するかもしれないので、誰が見ても妊娠の経過がわかるようにしておくとスムーズに受診できるかと思います。
各航空会社の規定をチェック(妊娠36週以降)
これは妊娠36週以降に飛行機に乗る場合なのですが、出産に近い時期ということで、特別な用意が必要です。
当日空港に行ってから慌てないよう、しっかり準備しましょう。
<ANA・JALの場合>
出産予定日前28日~8日以内 | 搭乗日を含めて搭乗7日以内に発行された「航空旅行を行われるにあたり、健康上支障がない」という、医師が作成した診断書が必要 |
出産予定日7日以内 | 診断書の提出と医師の同伴が必要 |
この他の航空会社でも、似たような準備が必要です。
お仕事をしているママが産休を取る場合、妊娠34週から産休に入れるので、里帰り出産等では体調をみて早めに移動してしまいたいですね。
Hさんも妊娠34週に入るまでお仕事を続けていました。
かかりつけの産婦人科医には、里帰り出産の予定ということを早めに伝えていたのですが、
「妊娠34週になるまで、実際に飛行機に乗る許可を出せるかはわかりません」と言われていました。
出産予定日が近づくにつれて、お腹は大きくなるし妊娠後期特有のトラブルも出てくるからです。
幸いHさんは体調も妊娠の経過も良く、産休に入ってすぐ里帰りすることができました。
しかし、上記の表のように妊娠36週以降に特別な準備が必要なのは、それだけママと赤ちゃんにとってリスクがあるためです。
やむを得ない事情もあるかと思いますが、この時期飛行機に乗ることが本当に必要な事なのか、家族でよく話し合ってみてくださいね。
各航空会社のマタニティサポートをチェック
航空会社によって多少の違いはありますが、妊婦が飛行機に乗るときに受けられるサービスがあります。
長旅で無理をしないよう、利用できるサービスは積極的に使わせてもらった方が、ママと赤ちゃんのためにもなりますね。
- 事前改札サービス
飛行機に搭乗する際、優先的に乗ることができます。
- オリジナルマタニティタグの配布
その航空会社オリジナルのマタニティタグがもらえます。
- 電動カートサービス
搭乗口までの長距離移動が不安な場合、電動カートに乗って移動ができます。
- 機内でのお手伝い
手荷物の収納など、客室乗務員に手伝いを依頼することができます。
電動カートは台数に限りがあるので、利用したい場合は早めに行動しましょう。
まとめ
妊娠中の方が飛行機に乗るのは、里帰り出産や思い出づくりの旅行、または何かやむを得ない事情など、それぞれ理由があるかと思います。
しかし妊婦が飛行機に乗るということは、妊娠前に比べて次のようなトラブルが起こる可能性が高いことをお伝えしてきました。
- エコノミー症候群
- 気圧の変化による体調不良
この2つはそれぞれ予防方法がありますが、必ずしも防げるものではありません。
飛行機に乗る前に、本当に飛行機に乗ることが必要なのか、他の方法はないのか、もう一度考えてみてくださいね。
それでも乗る必要があったら、何かあった時に慌てないために、
- 医師に報告・相談しておく
- 母子手帳等の準備
- 各航空会社の規定をチェック
- 各航空会社のマタニティサポートをチェック
この飛行機に乗る前にできる、4つの事前準備をしっかりしましょう。
赤ちゃんを授かることは、妊娠前から出産に至るまで、すべてにおいてが奇跡の連続です。
妊娠中はママ本人が思っているよりも、体力がなくなって感染症に対する抵抗力が弱くなっていたり、転びやすくなっていたり、思いもかけないところでトラブルに見舞われます。
飛行機に乗ることで起こりうるトラブルがあることを良く理解し、どうか後悔することのないよう、家族でよく話し合って納得のいく方法を探し出してくださいね。
飛行機を利用する場合は事前の準備をしっかりして、利用できるサービスはしっかり利用し、ママの身体にできるだけ負担がかからないようにしましょうね。
この記事を読んで、あなたが素敵なマタニティライフを送ることができるよう、願っています!