「最近、頻繁に家の回りにスズメバチがくる」
それ、放っておいてはいけません。
もしかしたら、スズメバチが巣を作ろうとしているのかも知れませんよ?
自宅に巣を作られたら、命に関りますし怖くて普通の生活なんて出来ませんね。
でも、大丈夫です。
この記事で、巣を作られない様にするにはどうすればいいか説明していきます。
安心して暮らせる様、正しい対処法を身につけましょう。
スズメバチってどんな生き物?
まず始めに、スズメバチの特徴について説明します。
スズメバチの代表的な特徴は以下です。
- 体が大きい
- 攻撃性が高く、大型動物も襲撃する
- 毒性が強く、刺されるとショック死するケースも多い
- 何度も針を刺すことが出来る(ミツバチは1度刺すと死んでしまう)
- 活動期は5~11月
- 1匹の女王蜂を中心とした集団を作る
- 雑食性で、肉、魚、卵等も好む
- 直線的に飛ぶ
- 体に黄色と黒の縞模様がある
- 1年毎に巣を作り替え、翌年に再利用する事はしない。
スズメバチはどこに巣を作る?
軒下や、屋根裏部屋等、様々な場所に巣を作ります。
スズメバチが巣を作りやすい場所や、巣の特徴は以下になります。
スズメバチの巣の特徴
スズメバチの巣は
- 初期の巣は、とっくりを逆にした形をしている。
- 巣が大きくなってくると、縞模様のボール状になる。
- 巣には1~2個の穴が空いている。
- 水を弾く外壁で覆われている
といった特徴を持っています。
こんな場所には要注意!
スズメバチが巣を作りやすい場所は
- 木の枝や樹木の茂みの中
- 家の軒下
- 屋根裏部屋
- 物置
- 戸袋の中
- 床下
- 昨年に巣を作った場所や、そのすぐ近く
- 土の中(クロスズメバチ等。市街地で巣を作られる事はやや少ない)
になります。
巣が小さい内は、比較的狭く閉鎖的な空間に作る事も多くありますので、そういった場所は注意が必要です。
働き蜂の数が多くなってくると、樹上や軒下等の、巣の拡大や出入りが容易な場所に巣を作り直すようになります。
又、頻繁に蜂がくる場所も要注意です。
知らない内に巣を作られている可能性もありますし、今からそこに営巣しようとしている場合も多くあります。
「いきなり蜂が襲いかかってきた!」なんて状況になると大変ですから、早めのチェックと対策をしておきましょう。
巣を作らせないためにはどうすればいい?
上記にて、巣を作りやすい場所について説明しました。
逆にいえば、こういった場所を気を使っていると、巣を作られにくくなります。
作られやすい場所を塞いだり、物を撤去するのも大変有効です。
「放置していた粗大ゴミの中にスズメバチの巣が出来ていた」といった報告もされています。
ですから、庭に物を放置していたり、物置が整理されていない場合、定期的な掃除や、片付をする様にしましょう。
庭が茂っていても巣を作られやすくなりますから、草木の剪定もお忘れなく。
物置に鍵を掛けたまま放置していませんか?
もし心当たりがおありなら、すぐに片付けましょう。
木酢液で巣作り予防
木酢液は、炭を作る際に出来る、木を焦がした臭いがする液体です。
蜂はこの臭いを嫌うので、これを用いれば、巣作りを防げます。
原液が最も効果がありますが、臭いがきつく、気になる方も多いと思いますから、薄めて使う事をおすすめします。
まず、木酢液と水を1:1で薄めましょう。
次に、ペットボトルに入れ、水が漏れない上部の位置に数か所穴を空け、場所に応じて吊るしたり、置いておいたりします。
又、スプレー容器に入れ必要な箇所に噴射しても効果的です。
但し、臭うので使い過ぎない様注意しましょう。
ちなみに、服に付くとしばらく臭いが残りますから、作業時にお気に入りの服は着ない方が無難です。
時期に合わせた巣作りの予防法
蜂は通年を通して同じ活動をするわけではありません。
私たちも夏と冬で同じ行動はとりませんよね?
蜂たちもそれは同じですから、行動を知っておく事は重要です。
以下に、時期毎の対処法を記載致します。
4月〜6月上旬
スズメバチが活動を開始する時期です。
女王バチが単独で巣作りを行うこの時期は、攻撃性が低く予防を行うのに最も効果的です。
殺虫スプレー等を上記で説明した巣を作られ易い場所に散布します。
又、飛び回る女王バチに直接殺虫スプレーをかけても駆除出来ます。
この時期は働きバチがいないので集団で襲われる危険も少くなります。
しかし、リスクはありますから、遠くからかけられるタイプの殺虫剤が良いでしょう。
6月下旬〜7月
新たに巣を作られない様、スプレーと毒エサ等での予防がメインになります。
この時期はすでに巣が出来ており、働き蜂もいるので注意が必要です。
ですから、もし巣を発見しても、むやみに直接巣にスプレーする事は避けましょう。
8月〜11月
ほぼ全ての働きバチが成長し、1つの巣に100匹以上暮らしている場合もあります。
攻撃力も高くなり最も危険な時期ですから、巣を見つけても手を出さず、速やかに業者に依頼しましょう。
尚、巣のない所に蜂がくる場合、その部分にはスプレーと毒エサでの予防を続けておきます。
巣を作られてしまったら
予防を行っていても、巣を作られてしまう場合もあるかもしれません。
もし、予防中に巣を発見したら、以下の様に対処します。
- 出来るだけ巣に近づかず、ゆっくりとその場を離れる
- 巣を刺激しない (棒で叩かない。殺虫剤をかけない)
- そばに飛んできても手で振り払わない (飛び去るのを待つ)
特に小さいお子さんは、面白半分で巣を叩いてしまったりしますから、よく注意しておきましょう。
尚、作り始めのごく小さい巣以外は、自力で撤去するのは危険ですから、撤去は役所や業者に依頼しましょう。
刺されないために注意すること
蜂の被害を受けない様にするには、まず、蜂の習性をよく理解し、極力刺激しない事が一番の対策になります。
蜂は刺激すると襲いかかってくる性質を持っており、スズメバチも例外ではありません。
被害を防ぐ上での大事なポイントについて、下記にまとめておきます。
- 蜂は黒や鮮やかな色の服の人を襲いやすいので、白い服や帽子を着用する。
- 虫除けスプレーを腕や脚などに吹き付けておく
- 強い香水やヘアスプレーを使わない(蜂を刺激しないため)
- 蜂を追い詰めない(逃げ場がない場所で手で払う等すると襲いかかってくる)
- 蜂は横移動に敏感なので、移動は縦に行う
- 巣に近づかない
特に、巣に近づく行為は最も蜂を刺激する事になるため、決して近づかない様に心がける必要があります。
スズメバチは警告を出す!
スズメバチは外敵が巣に一定距離まで近づくと、警告を出します。
ですので、この警告を察知出来れば、被害を防ぐ事も可能です。
スズメバチは、攻撃前に「カチカチ」という威嚇のための警告音を出します。
しかしこの警告音は、飛んでいる時の羽音にかき消され、聞こえない場合も多くあります。
ですので、警告音よりも、羽音が聞こえたら注意する方がよいでしょう。
又、周囲を飛び回る等の威嚇行動をとる場合もあります。
威嚇行動に気付いた場合、
- 姿勢を低くし、ゆっくり後ずさる(走って逃げない)
- 追い払おうとしない
- 大きな声を出さない
上記の様に対処しましょう。
スズメバチが威嚇行動を取る理由
スズメバチが威嚇行動をとる時は
- 巣が危険に晒される(殺虫剤を吹きかけた時等)
- 仲間や自分が危険に晒される(蜂に攻撃を加える等)
といった場合に多く、こういった行動をとらない様に注意する必要があります。
刺されるとどうなるの?
スズメバチの毒は強く、量も多いため、刺されると非常に危険です。
刺されると、体内に毒に対する抗体が出来ます。
その状態で再度同じ種類のハチに刺されると、アレルギー反応を起こしてショック症状を呈する事があります。
一般的にはこの症状はアナフィラキシーと呼ばれています。
症状として、呼吸困難や血圧低下等が起こり、最悪の場合死に至ります。
アレルギー体質の人、以前ハチに刺された経験のある人は、十分注意が必要です。
刺されたらどうすればいい?
刺された場合は早急な対処をしないと命に関わります。
刺された場合の手順は以下になります。
- 刺された場所から離れる
- 流水でよく洗い流し、針が残っている場合毛抜きでぬく
- 傷口から毒を抜き出す
- 患部を持ち上げる
- 安静にして様子を見る
では、順を追って説明します。
1.刺された場所から離れる
刺された場所に止まっていると、蜂の追撃を受ける可能性がありますから、まずは刺された場所から離れます。
2.流水で洗い流す
その場から離れたら、刺された箇所を流水でよく洗い流し、針が残っている場合、毛抜き等でそっと抜きます。
3.傷口から毒を抜き出す
次に、 傷口から毒を抜き出します。
口でも吸い出せますが、口腔内に傷がある場合は吸い出してはいけません。
口腔内の傷口から毒が回ったり、口腔内を炎症させてしまう恐れがあるからです。
こういった場合に役立つ、毒抜き出来る道具がありますので、それを使うようにしましょう。
ちなみに、毒抜き器(ポイズンリムーバー)は、毛虫やムカデ、蚊等に刺された際にも使えますから、家に1つあっても良いと思います。
4.患部を持ち上げる
刺された部分の腫れは非常に大きくなる事も多く、普段の2倍以上になるケースも稀ではありません。
ですから、刺された部位を高くして腫れを和らげましょう。
理由は、腫れが血液やリンパ液等の、水分の集まりによって構成されているためです。
患部を持ち上げ、水分を上から下に流し、水分量を減らす事で腫れの抑制効果が期待出来ます。
但し、持ち上げる前に、必ず上記の毒抜きを行いましょう。
毒が残ったまま持ち上げると、水分と一緒に毒も心臓の方に向かって流れていってしまい、かえって危険になるからです。
尚、冷湿布や抗ヒスタミン薬、クリーム剤で痛みを和らげる事も出来ます。
5.安静にして様子を見る
ここまで対処出来たら、20分ほど安静にして様子を見ます。
息苦しさやしびれ、冷や汗、めまい、口の乾き、血圧低下、嘔吐、皮膚の異常等が出たら、速やかに救急病院で診察を受けましょう。
又、刺された後、感染症をおこしている場合があります。
しかし、初めの数日間は腫れているせいで、簡単には判別出来ません。
数日しても腫れが引いてこない場合は、診察を受けた方がよいでしょう。
まとめ
ここまでに説明してきた事を、最後にもう一度まとめておきましょう。
- 巣が小さい内は、比較的狭く閉鎖的な空間に作る
- 働き蜂の数が多くなってくると、樹上や軒下等の、巣の拡大や出入りが容易な場所に巣を作り直す
- 刺された場合は速やかに対処を
- 腫れが引かなければ感染症も疑う
- 予防は4月〜6月上旬が最適
- 物置きや庭の整理と、草木の剪定をしておく
- 巣を発見した場合はなるべく近づかず、直ちにゆっくりとその場を離れる
- 決して蜂を追い詰めない
冬以外一年中見かけるスズメバチ。
蜂たちも決して人間を目の敵にしている訳ではありません。
むしろ、刺激しているのは私たちの方なのです。
正しい知識を持って向き合い、安全に暮らしていってくださいね。