「ベランダじゃ狭くて出来ないから、室内で野菜を育てたい」
そんなあなた、LED栽培を始めてみませんか?
虫も付きにくく、成長も早くて育てやすいこの方法なら、室内で手軽に栽培をスタート出来ます。
でも、正しい知識が無いと、うまく育てられません。
元気がなくなって病気で枯れてしまう事も。
ですので、栽培をする上でのポイントを挙げましたので、これを参考にまずは始めてみましょう。
LED栽培とは?
LED(発光ダイオード)は電気を流すと発光する半導体で出来たライトで、この人工の光を植物に当てて育成するのが、LED栽培です。
土を使う事も出来ますが、水耕栽培(土を使わず水と肥料だけで育てる方式)が多いです。
この記事では、下記の理由から水耕栽培の方法について説明します。
- 土作り (肥料を混ぜる等して野菜を植える準備をする事) 不要で室内が汚れにくい
- 連作障害 (同じ場所に似た様な作物を植えると、病気等が発生しやすくなって、野菜の調子が悪くなる事) が無い
- 成長が早い
- 野菜の質が安定しやすい
- 天候に左右されにくい
尚、家庭でのLED栽培は小さく丈の低い植物向きですが、しっかり準備すれば比較的大きな植物も育てられます。
まずは育ててみよう!
下記の手順を参考に、とにかくまず始めてみましょう。
大まかな手順は
- 置き場を決める
- 必要な物を揃えよう!
- 種を植えよう!
- いよいよ栽培開始!
になります。
①置き場を決める
始めにどこに置くか、大体の置き場を決めます。
容器の大きさや並べる個数によりますが、小スペースで育てたいなら、始めの内は概ね、
縦50×横50×高60〜80(取り付け器具の最上部 高さ)以下のスペースで充分でしょう。
面積はダンボール1個分以下、高さは身長160cm位の人で太股の真ん中位より下ですね。
場所は出来るだけ窓際を選びましょう。
理由は、太陽光を活用する方が、育ちも良く、LEDをつける時間も短くて済み経済的だからです。
②必要な物を揃えよう!
まずは下記リストを見て、必要な物を揃えましょう。
- 種(下記「どんな野菜の種を選べばいい?」の項目を参照)
- 容器 (倒れにくければ何でもOK。トレーやペットボトルでも良)
- スポンジやキッチンペーパー (種蒔き用。柔らかくて、水を吸うものなら何でもOK。ぼろ切れでも大丈夫です)
- 肥料 (液肥。ミネラル入りが良)
- 光源 (LED。これについては後で説明します)
- 電球スタンド (倒れにくい物ならクリップ式、床置き式どちらでも可。アームがあれば尚良)
又、最近は手軽に始められる栽培用のセットも販売されていますので、まずはセット品から始める事も選択肢に入れておきましょう。
どんな野菜の種を選べばいい?
慣れない内はまず葉物野菜から始めてみましょう。
理由は、比較的必要な光の量が少なくて済み、収穫も早く、丈もあまり高くならず、育てやすいからです。
以下におすすめな植物をいくつかリストしました。
- レタス
- ほうれん草
- 水菜
- キャベツ
- いちご
- ミツバ
- 白菜
- ハーブ類(バジル、パセリ等)
尚、色々な植物を育てられるLEDですが、根菜類の栽培には向いていません。
室内でもミニトマトは育つ?
栽培でも人気の高いミニトマトですが、室内栽培の場合、難易度が高く、慣れない内はおすすめしません。
理由は、光を多く必要とし、丈も高い為、全体に上手く光を当てるのが難しい上、スペースを要する為です。
ちなみに、知人のFさんの体験談によると、「トマトは新芽を摘まず放っておくとすごく丈が高くなる」そうで、
その姿は「野菜というより木に近い」とのことです。
慣れない内から、室内で木を育てるのは難しいですよね?
ですので、丈のある植物は充分慣れてからトライしましょう。
LEDのはなし
白熱球やシリカ球より長寿命で、発光効率が良く、低発熱(あまり赤外線を出さない)等の特徴があります。
又、白熱球やシリカ球はスイッチをON-OFFする回数が増える程、寿命が縮まっていきます。
ですが、LEDの場合これらよりON-OFFの影響が少なく、頻繁にスイッチを入切する用途に向いています。
例えば、いちごは実を成らす為に光の当たらない時間が必要ですが、あまり寿命に影響しないLEDなら夜間切っておく事が可能です。
一口にLEDといっても、多数の種類があります。
慣れない内は、スタンドやクリップ付きのそのまま使えるライトか、専門電球を使った方が良いでしょう。
尚、大抵のスタンドはE26口金の為、専用のライト以外はこれに合う物を選びます。
LED選びに迷ったらこれ!
下記に、おすすめのLEDをいくつかご紹介します。
- YC 観賞用植物育成スポットライト
鑑賞用としてややピンクっぽい色合いを持つライトです。
青の波長を多く含む白色LEDに赤を足した事で、効率的でありながら、雰囲気を壊す赤青の弱点をあまり感じさせないのでおすすめです。
その為、栽培に使わなくなった場合でも、玄関用等に転用することも出来ます。
- 132LED 65W クリップ式スタンド型LEDライト
こちらはクリップ式の為取付けや位置換えが容易なタイプです。
太陽光に近い色々な波長の光を出し、色調も黄色で部屋の雰囲気にもマッチしやすい電球色風です。
ライトが3つ付いていて、何個つけるか選ぶ事も出来ますので、色々な育て方を試す事も出来ます。
又、ライトの部分が交換可能で、タイマーや光量5段階調節機能も付いていますので、植物に合わせ必要な時間だけON出来る為便利です。
他にもたくさん種類があるので、好みの物を探してみてください。
上記の様な栽培専用品でなくても、容器を窓際に置く場合、家電量販店で買える普通のLED電球で大丈夫です。
尚、中々決められない場合、家電店で、なるべくワット数の大きい、下方向と書かれたLED球を買ってきても良いです。
③種を植えよう!
まず容器にスポンジを入れ、種を置いていきます。
種を置いてから容器に入れてもOKです。
この時、ピンセットでスポンジに少し絡ませる様にしてあげると、根が張りやすくなります。
又、種が乾燥しにくくなり発芽も良くなりますし、水を足した時、万一水がかかっても流れ出しにくくなります。
水やり・水替えの頻度
容器の水が無くなってきたら、水と肥料を追加します。
この時、あまり肥料の濃度を高くし過ぎると、根が痛み易くなるので、肥料に書かれている分量を守る様にしましょう。
「栽培の注意点」にも書きましたが、湿気が多いと容器や枯葉にカビがはえる事もあります。
梅雨時等で水が長く残る場合、数日〜一週間位で替える様にします。
それでもカビがはえる場合、除湿機を使ったり水替え頻度を増やしましょう。
又、あまり密集させない様にして通気を確保し、枯葉があれば取り除く様にします。
④いよいよ栽培開始!
始めに決めておいた場所に容器を置きます。
次に、準備したスタンドにLEDを取り付け、容器の近くに設置し、スタンドのLEDを野菜の方に向けて光を当てます。
この時、なるべく容器に近い位置(後で育ってくるので30〜40cm位の高さにしておく)で、かつ光が均等に当たる様に調整します。
後は育ち方を見て、適宜高さを調整しましょう。
レタスやほうれん草等は丈が低い為、スタンドの高さを調整し低めの位置から当てる方が早く成長します。
又、低くするとスタンドも転倒しにくくなります。
但し、水に塗れない様に注意してください。
後は、注意点や防虫対策等を参考に、各家の状況に合わせ、色々試しながら育てると、栽培が楽しくなりますよ。
LED栽培の注意点
LEDで栽培をする上で注意点は以下になります。
- 梅雨等、湿気の多いときは時々カビがはえる事がある
- 電気を使うため水濡れに気をつける必要がある
- 土より根腐れ(根が病気や酸素不足等でダメになること)を起こし易い
- 光量が足りないと徒長(成長が止まる事)する場合がある
対処法は以下になります。
- 梅雨時等で余り水を吸わない場合、時々水替えする
- LEDが水に濡れない位置に設置する (設置方法は「いよいよ栽培開始」内を参照)
- 水が長く残る時は水替えする。
- 窓際に置き、太陽光を活用する。
「上手く育たない」と感じたら
しっかり世話をしていても、うまく育たない事も時々あります。
成長が悪い場合
- スタンドの数を増やす
- 高さを調整する
- LED交換や別の製品を試す
- 専用のセットを為してみる、又は別のセットで為してみる
- 容器の置き場を替えてみる
- 野菜の密度を減らす(密集する程栄養が分散してしまう為)
等をすると良いでしょう。
ちなみに、「LEDのはなし」でも触れていますが、いちご等は一定時間夜の時間が無いと実を付けない性質をもっています。
又、植物は光に当たりすぎると葉が痛み(葉焼けと言います)、調子が悪くなる場合もあります。
その為、当てる光量を減らしたり、夜は暗くする方が良い場合もある、という事を頭に入れておきましょう。
防虫と病気予防
LEDに限ったことではありませんが、室内栽培の場合、虫がつきにくいのが特徴です。
とはいえ、全くつかない訳ではありません。
Fさんも室内で栽培していたえんどう豆に大量のアブラムシがついた事があったそうです。
しかし、室内だと安易に農薬を撒く訳にもいきません。
又、換気が悪いと、うどん粉病等の病気にもかかり易くなる為、予め虫や病気予防を考えておく必要があります。
対処法
有効な方法としては、
- 天然成分の薬剤を使う
- 霧吹きで葉を湿らせる
- 虫の嫌がる植物を一緒に植える(コンパニオンプランツ)
等があります。
天然成分の薬剤を使う
例えば、お勧めの薬剤にカダンセーフというものがあります。
これは成分がほぼヤシ油とでんぷんで出来ているので人と自然に優しい殺虫剤で、収穫前日まで何度でも使えるという優れもの。
予防効果はありませんが、ハダニやアブラムシ等の害虫や、うどん粉等の病気にも有効です。
ちなみに、上記のFさん宅のアブラムシもこれと②の霧吹きで駆除されたそうです。
霧吹きで葉を湿らせる
植物は葉からも水を吸うので、乾燥する時期は、葉の裏からスプレーで葉水(葉から水やりをする事。はみず)をすると、病気や害虫の予防になります。
室内栽培でも、まれにハダニ等もつきますが、水に弱いハダニは、葉水でかなり防除出来ます。
もし、葉の裏に赤い斑点状の生物がいる、葉が白くかすれた状態になる、蜘蛛の巣の様な物がある場合、十中八九ハダニです。
頻度としては毎日かけるのが理想ですが、大変だと思いますので、症状が出てから都度、かける様にすると良いでしょう。
葉水で抑えられない場合、上記①の対処が必要になります。
ちなみに、ダニといっても、このダニは血は吸いませんから、人への心配はいりません。
コンパニオンプランツを植える
コンパニオンプランツとは、お互いに良い影響を与え合う植物を、一緒に植える事をいいます。
例えば、キャベツとレタス、トマトとバジル等色々あります。
中でも、マリーゴールドや、ネギ類等の香りの強い品種との組み合わせはおすすめです。
又、下記の組合せとリンクも参考にして頂ければと思います。
- ほんれん草と葉ネギ
- アブラナ科(キャベツ等)とマリーゴールド
- レタスとキャベツ
コンパニオンプランツ(または共栄作物、共存作物)とは、農学や園芸学において、近傍に栽培することで互いの成長によい影響を与え共栄しあうとされる2種以上の植物の組み合わせ、またはそれらの植物のこと。コンパニオンプランツを2種類以上、近傍に栽培することを混植または混作と呼ぶ。
(引用)『フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)コンパニオンプランツ 』2021年6月11日 (金) 05:00 UTC
ゴキブリにも注意
室内での野菜やいちごなど栽培ではゴキブリも大敵になります。
雑食のゴキブリはアニスや果物の香りも大好きで、見つけるとすぐかじられます。
又、いちごやミニトマト等はナメクジにとっても好物なので、窓を開けておくと時々部屋に入ってきます。
対策としては、
- ハンギングポットを使う(吊るせる物。穴が空いてると水が垂れてくるので注意)
- 忌避剤を使う
- ネットを被せる
- 近くにホウ酸団子やホイホイをおいておく(そっちにおびきよせる)
- 網戸を閉めておく
等の方法があります。かじられる前に早めに対策しましょう。
まとめ
最後にもう一度、ポイントをおさらいしましょう。
- 容器は窓際に置く
- 慣れない内は、種は葉野菜を選ぶ
- ライトはなるべく植物に近い位置から当てる(水塗れ注意)
- 光が均等に当たる様にする
- 容器の水がなくなってきたら水やりをする
- 湿気の多い時期は定期的に水替えをする
- 枯葉は適宜取り除く
- 野菜の密度を高くし過ぎない
植物も生き物ですので、いい加減に育てれば駄目になりますし、大事にすれば綺麗な姿を見せてくれます。
愛情をもって大事に育ててあげれば、愛着湧いてきますよ。