どんなに保湿剤を塗ってもすぐにカサカサしてしまいませんか?
夜中に無意識に掻いてしまって傷だらけになってしまったり。
大人のアトピーは、治りにくく、人と会う時はカサカサ肌が気になり肌の露出を控えたり、おしゃれもできなくてつらいですよね。
お肌のカサカサをそのままにしておくと、アトピー肌が悪化するだけでなく、ステロイド治療やアレルギーの薬を一生続けなければならないかもしれません。
10年以上も重症のアトピー肌に悩まされていたSさんは、今までのスキンケア方法を見直し、食べる油を変えることで劇的にお肌に変化が現れました。
カサカサ肌が綺麗なお肌になり、それをキープできているんです。
あなたも、綺麗なお肌を取り戻して、お肌を気にせずおしゃれを楽しみませんか。
アトピー性皮膚炎で肌がカサカサになる
アトピー性皮膚炎とは
Sさんは、汗をかいたら皮膚がかゆくなり、一度掻きだしたら止まらなくなったそうです。
そして、皮膚が赤くなり、カサカサ肌から湿疹ができ、さらにかゆみが強くなってしまうというサイクルの繰り返しでした。
その当時はかゆみで夜は寝れず、睡眠不足で仕事に行くこともありました。
夜間に無意識に掻いてしまい、掻き傷ができていたので、手袋をして寝ていたことも。
このように、強いかゆみと発疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気のことをアトピー性皮膚炎といいます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下していることが大きな原因といわれています。
アトピー肌は、皮膚のバリア機能が低下しているために、外からの刺激物が体内に入ってしまいます。
刺激物が体内に入ると、その異物を攻撃するため皮膚に炎症が起こり、かゆみが生じます。
病院での治療は、この身体の攻撃による炎症を抑えるための対症療法であり、アトピー性皮膚炎を根本的に治す治療ではないのです。
ステロイドと抗ヒスタミン薬でかゆみが治まっても、身体自体は何も変わっていません。
そのため、ストレスなどで免疫力が低下したときやアトピー肌に刺激になるものに触れると再び症状が出現してしまうのです。
アトピー肌と上手に付き合いながら、毎日のスキンケアと身体の中を変えていくことがとても大事になってくるのです。
日常の中にアトピー性皮膚炎を悪化させる要因が!
アトピー性皮膚炎は、症状が治まったり、悪くなったりを繰り返しますよね。
なぜ、このようにして繰り返すのでしょうか。
それは、日常的に肌に触れるもの、食べる、吸うものが、アトピー肌の人にとっては刺激になる要因がたくさん潜んでいるからです。
例えば、服屋さんで服を試着している時に、なんか肌がむずむずしてかゆくなる服がありますよね。
衣服が合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリルなど)でできているものは、肌触りは悪くないのですが汗を吸いにくい性質があります。
その性質で蒸れやすいためかゆみの要因になることがあります。
また、普段から着ている服でもかゆみを感じる時は、残留洗剤が要因ということもあります。
食べ物では、食品添加物や化学調味料、残留農薬、サラダ油などの摂りすぎが要因のこともあります。
現代人は、食事が欧米化に伴い油の摂取量が過剰である人が多く、それが原因で肥満、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化、アレルギー疾患の悪化を招いています。
残留農薬は見逃されやすいのですが、冷蔵庫にレタスを買ったのを忘れてそのままにしておくと、レタスが溶けてねっとりして、腐ったような状態になったことはありませんか?
ねっとりした溶けた状態は、残留農薬が原因です。
生活環境でもカビの胞子、ダニの屍骸、花粉、砂塵などを吸うことが、症状を悪くする要因になります。
これらの化学物質が原因でアトピー肌を刺激してしまうのです。
さらに、ストレスや運動不足で免疫力が弱った状態の時に悪化しやすい人も多いのではないでしょうか。
アトピー肌が悪化する原因には、さまざまな要因があるので一つの対処をしても、また違う要因で悪化するというように繰り返してしまうのです。
環境から食べ物、衣類をすべてを変えることは実際難しいですよね。
まず、一番大事なことはアトピー肌の原因となっている皮膚のバリア機能の低下を正常な状態に戻し、維持することです。
バリア機能が低下した状態を頭に入れておくことで、スキンケアや食べる油の必要性がわかるのでこれからお話します。
皮膚のバリア機能の低下が肌をカサカサにする
皮膚バリア機能
毎日保湿クリームを塗っていないのに、汗をかいてもかゆみがでない、チクチクするウール素材の服をきても全くかゆみが生じない人がいますよね。
それは、外からの刺激が入ってこないようにする皮膚のバリア機能がもともと身体に備わっているからです。
綺麗で健康な人の肌は、肌にうるおいが感じられたり、ハリや弾力が感じられますよね。
これは、皮膚の一番外側にある表皮の中の水分が十分保たれており、バリア機能が正常に働いているからです。
私たちの皮膚の一番の表面が表皮です。
表皮は、4層から成り立っており、その一番外側の僅か0.02ミリ程度の薄い角質層が水分の保持や皮膚のバリア機能を作っています。
なんと!0.02ミリのサランラップ1枚分の層が、皮膚のバリアを作ってくれていたのです。
そう思うと、皮膚ってデリケートで、優しくしてあげようって思いますよね。
そのバリア機能を作ってくれる保湿因子が3つあり
- 皮膚表面を覆い、水分の蒸発を防ぐ「皮脂膜」。化粧品でいうと乳液と同じ働き
- 角質層は、水分をつかまえて離さずに角質層内のうるおいを保つ「天然保湿因子」。
- 水分を逃さないように挟む「セラミド」。
これらの因子は、レンガ状の層になっています。
積み重なったレンガの外壁を想像してみてください。
天然保湿因子が赤いレンガで、レンガとレンガの隙間を埋めてくれているのが「セラミド」です。
その一番上の層を、皮脂膜で覆っている状態です。
この3つの因子が皮膚のバリア機能を作ってくれています。
アトピー肌の人は、日本古来の魚や大豆中心の食生活がよい、油は控えたりした方ががよいということは聞いたことがあると思います。
それは3つの保湿因子である角質層の成分が、水分、タンパク質、油からできているためです。
皮膚のバリア機能は、水、タンパク質、油のバランスが保たれてできています。
バリア機能が低下した状態とは
アトピー肌の人は、この角質層の水、タンパク質、油のバランスが崩れているのです。
潤いを保つ成分が少なく、水分を逃さないようにする働きが弱っているのです。
すると、先ほどのレンガの例で話すと、潤いを保つレンガが萎んでしまい、さらに、レンガの隙間を埋める「セラミド」の働きが弱って、外壁が崩れて重なっている状態になってしまいます。
皮膚は水分が少なく、その少ない水分もすぐに蒸発してしまう状態です。
そのため、乾燥したカサカサの皮膚になってしまうのです。
レンガとレンガの間に隙間ができているので、外からの刺激物がいつでも入りやすい状態になっています。
カサカサ肌をすべすべのお肌にするためには、3つの保湿因子が元気に働けるようにするための油、皮脂膜の補強をしてくれる保湿剤がとても大事になってくるのです。
ここでは、食生活を見直す大事なポイントと皮脂膜の働きを補強してくれるスキンケアをお話しします。
食生活の見直し
摂取する油を選択する
先ほど、お肌の水分を保っている角質層についてお話しましたが、皮膚は、水分と油のバランスを保つことで、バリア機能を保っています。
必要な油を摂取しないと、バリア機能が維持できないということにもつながってきます。
では、どうすればよいかというと身体に必要な油について知り、使用する油を選択することです。
油には、アトピー肌に相性の良い油と相性の悪い油があります。
- 相性のよい油:オメガ3系脂肪酸
- 相性の悪い :オメガ6系脂肪酸
- 普通:オメガ9系脂肪酸
オメガ3系脂肪酸は、炎症を抑える働きがありますので、毎日の食事に積極的にとりいれることてアトピー肌の改善に繋がります。
オメガ3系脂肪酸には
- えごま油
- アマニ油
- 魚の油
などがあります。
オメガ3系脂肪酸の注意点として、酸化しやすいため、加熱に弱い点です。
そのため、調理には不向きなので、ドレッシングとして使用します。
サラダに亜麻仁油、塩、胡椒をそのままかけて十分に美味しくなります。
他にも、ヨーグルトやアイスのデザートにかけると濃厚な味わいになり美味しく食べれます。
納豆に混ぜると納豆の匂いの癖が少し軽減して食べやすくなります。(好みは個人差があります)
Sさんは、アマニ油は少し苦味があり、くせのある匂いがあるため続かなかったそうです。
えごま油は、無味無臭ですが、シソ科の植物からできているのでやや葉っぱ系の匂いがするという人もあります。
人によってはアマニ油の苦味が好きなどの好みがあるので一度試して自分に合った味のものを選択するといいですね。
買い物に行った時は、オメガ3系脂肪酸のことを「α‐リノレン酸」と表示されていることもあります。
「α‐リノレン酸」はオメガ3系油のことなので、それを選びましょう。
ただ、欠点が高価なのと、酸化するため開封したら早い目に(1~2か月)使いきらなければならないことです。
えごま油の相場は、1本200g当たり800~2000円程、無添加のものは身体にいい素材を使っているのでどうしても高価になります。
ただ、1日に必要な量は小さじ1杯分(5g)なので、200gのボトルで1か月~1か月半で使い切れる量になります。
味や匂いの好みもあるため、少量のボトルから購入することをおすすめします。
あと、魚の油で特に青魚にはオメガ3系の油が豊富に含まれています。
イワシ、カツオ、さんま、鯖の他にもカワハギ、タラにもオメガ3系の油が含まれています。
食べ方としては、一番は刺身や寿司で食べるのが油を摂るのに効率が良いです。
焼き魚や煮魚にして調理しても、時間をあけずに食べれば問題ないです。
また、お魚を食べることでオメガ3系の油だけでなく良質なタンパク質も同時にとれるので、お肌のバリアを作るためには最適の素材ですね。
では、調理する時には、どのような油を使用すればいいのかというと
Sさんは「なたね油」をおすすめしていました。
なたね油は、オメガ9系脂肪酸でアトピー肌とは相性は普通なのですが、オメガ3系脂肪酸を含み、熱にも強いので調理するときにはおすすめです。
なたね油は、匂いにくせがなく、お菓子作りの時にバターの代わりに代用することで美味しいお菓子を作ることができます。
やってしまいがちなのが、揚げ油の使いまわし。
揚げ物をする時は、油を大量に使用するので、もったいなくて何回も使いまわしがちなのですが、なるべくはやめましょう。
揚げ油は、熱を通した時点で酸化が始まります。
熱に強い油でも、加熱した油を置いておくとさらに酸化がすすみアトピー肌の悪化の原因になります。
揚げ物をするときには、油はフライパンの底一面がつかる程度でするのがいいでしょう。
アトピー肌に相性のよい油を摂ることで、アトピー肌の調子が良くなる傾向があるので試しに続けてみるといいですね。
スキンケア
清潔
入浴した後もすべすべなお肌が保てるようにするためには、まず、皮膚の表面を清潔にすることがとても大事です。
私たちの皮膚の表面にはもともと常在菌といって、さまざまな菌が存在しています。
健康な皮膚は、弱酸性で常在菌がバランスよく存在する環境を保っています。
しかし、アトピー肌の人の皮膚は、抵抗力や殺菌力が弱いため、黄色ブドウ球菌が健康な人に比べて多く存在します。
この「黄色ブドウ球菌」が発生させる毒素が、アトピー肌を悪化させることが分かっています。
必ず毎日皮膚は清潔にして、細菌などを洗いながすことが大事です。
入浴時に気を付けるポイントは
- 39℃から40℃程度のぬるま湯で洗う。熱いお湯を使用すると、乾燥が悪化する。冬など寒いときは、自分が温かいと感じる温度で入る。
- 洗浄料の塊が皮膚につくと刺激になるためボデーソープや石鹸、シャンプーなどはしっかりと泡立ててから優しく洗う。
- 泡立てるのが面倒なら、自分で泡立てなくて済む「詰め替え用の泡立てポンプボトル」を使用する。
- 身体を洗うタオルはナイロン製のものだと、軽くこするだけでも皮膚を傷つけてしまうので避ける。麻などの天然のものを使用する。なければ素手でやさしく洗う。
- 皮膚に石鹼が残っていると、皮膚の乾燥やかゆみの原因になるので十分にすすぐ。
保湿
さぁ、身体が綺麗になった後は保湿ですね。
お風呂上りの保湿は、お肌のすべすべを継続するためにとっても大事です。
お風呂に入って身体を拭いたら、お肌も気分もすっきりしたので、服を着てゆっくりリビングに座りたい気持ちはわかります。
その気持ちは抑えて、身体を拭いたら、皮膚が湿った状態ですぐに保湿剤を塗りましょう。
ここがとても重要で、一度皮膚が乾燥してしまうと、保湿剤が皮膚の中に入りにくくなってしてしまうのです。
お風呂上りに皮膚が潤った状態で保湿剤を塗ると皮膚の中に入りやすくなります。
乾燥がひどい部分を重点的に、全身に保湿剤を塗ります。
そして、保湿剤は入浴後以外でも、皮膚がカサカサしてきたなと感じたらすぐに塗りましょう。
服の摩擦や汗などで保湿剤が剥がれてしまい、生活しているだけでも皮膚は乾燥します。
Sさんは、家の中には何個か保湿剤を置いているそうです。
お風呂上りに塗るために洗面台に1個、普段生活しているリビングに1個。
朝起きた時にすぐに塗れるように寝室に1個置いてあり、1日に何度も保湿剤を塗っています。
保湿剤でワセリンを使用する場合は、保湿剤を塗る順番に注意が必要です。
Sさんは病院からワセリンを処方されて何度も塗っていました。
しかし、塗ってもべたべたするだけて、汗などで流れてしまうと、すぐにカサカサした肌になっていました。
ワセリンは、化粧品でいうと最後にお肌につける美容オイルです。
主な成分が油なので、ワセリンを最初に塗ってしまうと水分を弾いてしまいます。
そのため、保湿剤を塗っても肌に浸透しません。
ワセリンを使用する場合は、保湿成分の入っている保湿剤を最初に全身に塗ってからワセリンを塗りましょう。
保湿剤は、なにを使ったらいいのと悩んでしまうと思います。
無添加、エタノールが入っていないもの、ノンアルコールのものなどがお肌に刺激が少ないものといわれていますのでおすすめです。
アトピー肌用の保湿クリームも販売していますが、2000~4000円台などコストがかかります。
無添加、アルコールフリーなど成分にこだわって作られているので高価になってしまうのです。
皮膚が赤みを帯び炎症があるときは、保湿剤の添加物などが刺激になることがあります。
そんな時は、アトピー肌用の保湿剤を使用するのも一つかなと思います。
ただ、かゆみがひどいときは、自分でなんとかしようとせず、皮膚科を受診して適切な対処の方法を聞くことも大事です。
そのほか、普段の生活から気をつけること
Sさんは、油に気を付けたり、スキンケアの方法を変えてから半年ほどで薬漬けの生活から脱出できたそうです。
Sさんは、子供のころからアトピー肌であったので和食を中心にして食べていました。
また、ストレスを貯めないないように休日はリフレッシュする時間を大事にしていました。
Sさんのように半年で効果がみられた例はまれであり、本来はもっと長期間継続してから身体の変化を実感する人が多いです。
普段の生活から刺激を避けて、アトピーが悪化しないように気をつけることが大事です。
普段の生活でも気をつけるポイントをまとめますね。
- 日焼け止めクリームはかゆみの原因になるので、なるべく使用しない。変わりに、日傘、アームカバーやつばの広い帽子をかぶる。
- ファンデーションは、クリーム状よりパウダー状を使用する(クリーム状の中には、油などが皮膚を刺激するため)
- 普段からタオルを持ち歩いて、汗をかいたらすぐにふき取るようにする
- 洗濯する時は、すすぎを2回する。
- 洗濯洗剤を入れるときは、注水後に入れるか、洗剤専用の注入口から入れる。注入口から入れると、洗剤が洋服に直接つかず、ダマにもならないので洗剤の残留予防になる。
- 爪は必ず短くしておく。爪切りで切ったあとは、やすりで爪の角をなくす。
まとめ
カサカサ肌とかゆみからお別れするには
- オメガ3系油を積極的に摂りいれる。
- 毎日のスキンケアを見直して、皮膚が乾燥したら保湿する癖をつける。
身体の変化を実感できるまでは、どうしても長期間かかります。
数日食事を変えただけでは身体の変化はみられないので、楽しみながら気長に続けることがとても大事です。
カサカサ肌とお別れしたら、お気に入りの服をきておしゃれを楽しみましょうね。
ただ、ここ数年で紫外線がとっても強くなっているので、夏以外でも必ず日傘はさしましょうね。