
「掃除しようと壁際の収納ボックスをどけたら、その下の畳にカビが生えていた!」
湿気が多いこの国では、カビ発生は避けて通れないと分かっていても、目にするとショックですし、嫌ですね。
でも、畳は目地が細かいので、正しい掃除法をしないと取りきれずに残ってしまいます。
カビが残っていると、またそこから増えてきてすぐ部屋中に広がってしまい、お気に入りの布団までダメになるかもしれませんよ。
今回は部屋の中のカビの予防と対策についてお伝えします。
カビって一体何者なの?
まずは、カビとは一体何なのかから説明を始めます。
カビとは、菌類の一種で、糸状の細胞からなる微生物です。
コロニー(微生物の集落)を形成し、胞子によって増殖します。
アオカビ・コウジカビ・ケカビ・クモノスカビ等、種類も多種多様で様々な色をしています。
カビは何を栄養にしているの?
カビは様々な物を栄養にして生きていける強靭さを備えています。
その中でもカビが特に好む栄養源は、以下です。
- 埃
- 皮脂や垢
- 他の生物の死骸(ダニ等)
- 石けんカス
- 食べカス(食品)
カビはいつ・どこで生えやすい?
カビ菌は普段から空気中を漂っています。
浮遊しているカビが壁などに付着した際、条件が揃っているとそこで目に見える状態にまで増えます。
こうして「カビが生える」のです。
技術書 『NHK出版 生活家電の基礎と製品技術第3版』内の、カビが発生する条件の記載を元にしたデータは、以下です。
- 温度が20〜35℃の時、湿度60%以上で栄養源があると発生する
- 湿度60〜75%だと、より繁殖する
- 湿度が55%以下の時は、発生しづらくなる。
- 温度が36℃以上又は6℃以下だと、発生が鈍り生えにくくなる
カビが増えやすい季節
上記条件に一致する、春〜夏にかけては増えやすいと言えます。
特に、梅雨時は爆発的に増えるので、昨日まで生えていなかった場所にカビが生えている場合もあります。
近年では住環境が向上したせいで、冬でも適度な温度、湿度が保たれた結果、年中カビが生える様になってきています。
カビが増えやすい場所
室内で特にカビが増え易い場所は、以下です。
- トイレ
- 浴室
- キッチン
- 洗面所
- クローゼットや押入れ
- マットレスや座布団の裏
- 寝具の裏側
- タンスや食器棚の裏側
- 冷蔵庫、洗濯機等の家電の裏側
- エアコンの内部
- 畳
これ以外でも風通しが悪く、湿気がたまり易い場所や掃除がしづらい所はカビが急増しやすい環境と言えます。
カビが生えるとどんな影響があるの?
カビが増えると様々な悪影響を及ぼします。
カビが与える悪影響について、下記に記載します。
- 室内が汚れる(壁紙、タイル目地等)
- アレルギー症状を起こす(喘息、鼻炎等)
- 肝臓がんや腎臓がんを誘発する
- シックハウス症候群の原因になる
- 水虫になる
- 食道炎、胃腸炎、髄膜炎、皮膚炎等の病気を起こす
- 壁紙、柱等を腐食させる(土台がダメになる事もある)
部屋からカビを追い出す方法
上記に記載した通り、カビは様々な悪さをします。
ここでは、カビを抑制するには、どうすればいいかを説明します。
カビ予防のポイントは、下記です。
- 埃や食べカスを掃除する
- 布団やソファ等のダニを除去する
- 浴室を掃除する
- エアコン内部を掃除する
- 換気する
- 湿度を下げる
- 家のレイアウトを変える
ではまず、掃除から見ていきましょう。
埃や食べカスを掃除する
カビも生物ですから食べ物がないと生きていけません。
お腹がすけば元気がなくなってしまうのは同じです。
ですから、上記に記載した栄養源を経つためにも、こまめな掃除が欠かせません。
週1~2回を目安に、フロアワイパー等で壁際、床、天井、電気製品の周囲等を軽く水拭きすると良いでしょう。
ただし、珪藻土で出来た壁剤などを水拭きすると、ボロボロ壁が崩れてくる恐れがあります。
その場合は、モップ等を使い乾拭きすると良いです。
又、掃除機やフロアワイパーで埃を除去した後に、まだこびりついた汚れが残っている場合、しっかり拭き掃除して除去しておきましょう。
布団やソファ等のダニを除去する
布団やソファ等には、カビの栄養源となるダニの死骸が数多く入っています。
ですから、まめに掃除機をかけたり、天日干ししてダニや死骸を除去しましょう。
手間をかける時間があるなら、布団乾燥機を使う手もあります。
乾燥機でダニを駆除した後、布団に掃除機をまんべんなく当てて吸い取れば、非常に効果的にダニを抑制出来ます。
パナソニック マットタイプふとん乾燥機 FD-F06A7-P
浴室を掃除する
浴室にはカビの栄養源となる石鹸カスや皮脂が付着しています。
なので、それらを取り去り浴室を綺麗に保っておく必要があります。
入浴後に壁や床をなるべく熱いお湯で流すと、溶け残った石けんカスや皮脂が流し落とせますから、後々の掃除も楽になります。
又、カビが熱で弱る事も、増殖を抑えられる理由の一つです。
文部科学省のデータには、カビは50℃以上になると死滅するとあります。
対して家庭用の給湯器の最高温度設定は、メーカーにもよりますが、概ね60℃前後に設定されている事が多いです。
ですから、上記方法でカビを弱らせられます。
最後に入浴後の換気を忘れない様にしましょう。
そうしないと、水滴の残った場所からカビが生えてきてしまいます。
エアコン内部を掃除する
エアコン内部のフィルター部分等はハウスダストが溜まり易く、放っておくとカビの温床になります。
もし、「エアコンの風が臭い」と思ったら、すぐに内部を掃除した方が良いです。
最低でも梅雨前と冬場の前の年2回掃除する事を推奨します。
最近では、お掃除機能を搭載したエアコンも多く出ていますから、そういった機種を選ぶのも手です。
知らないと損!安くて快適なエアコンを選ぶ際の重要ポイントは?
換気する

こまめにクローゼットや押し入れを開けたり、お風呂場の換気扇を回したりして、空気を入れ替えましょう。
クローゼットなら概ね1日1時間を目安にすると良いです。
浴室は水分が取れるまで換気扇を回しておきます。
サーキュレーターの風を押入れ等に向けて送るとより効果的です。
室内の空気を循環させる時に、サーキュレータを上向きにすると、天井の隅に溜まった湿った空気を動かす事が出来ます。
タンスや本棚の中への物の詰め込み過ぎも、風通しを悪くしますから、適度な量に止めておきましょう。
湿度を下げる
上記に記載した通り、カビは湿度が55%以下になると活動が鈍ります。
湿度が高い場合は、除湿器、除湿剤、エアコンの除湿機能等を使い、部屋の湿度を下げましょう。
梅雨時等で部屋干しする際は、衣類乾燥機能付き除湿機を使い、服を早く乾かして少しでも湿気が溜まらない様にする事が肝心です。
結露防止用のフィルムを窓に貼ったり、窓を二重構造にする方法も、湿気対策として有効です。
畳は自然に湿気の吸収と放出を行いますから、部屋を快適に保ってくれます。
ですが、高湿度の状態が続くと、湿気を吸いすぎてカビが生え易くなります。
新しい物は特に湿気を吸い易く、カビが生えやすいので、畳が新しい場合、念入りに湿気対策を施す必要があります。
寝室の除湿には注意が必要
ただ、寝室の場合は若干厄介です。
湿度を下げるだけで良ければ除湿すれば済みます。
しかし、睡眠中に湿度を下げると風邪を引いたり、のどを傷めたりし易くなってしまいます。
ですから、寝室の場合はただ除湿するのではなく、空気を循環させる方法に重点を置くと良いでしょう。
就寝中以外の時間は、他の部屋同様除湿しておけますから、この時間にしっかり湿気取りをしておくとベターです。
そのためには、上記の様にしてサーキュレーターを上向きにして回すと効果的です。
家のレイアウトを変える
室内の家具の配置次第では、風通しが悪くなって隅に湿気が溜まり易くなります。
家具を壁際にぴったりと付けてしまうと、背面の空気が流れにくくなり、湿気が溜まります。
又、掃除しようにも、手が届きにくくなってしまいますから、埃が残ってしまいます。
その結果、湿気や埃の溜まり場となり、カビが生えます。
ですから、家具を少し隙間を開けて配置し、風通しや掃除のし易さを確保しましょう。
家具の下にすのこを引いておくと、より効果がアップします。
壁と家具の隙間に風が流れ込む位置に、サーキュレーターを置くのも効果的です。
生えてしまったカビへの対処法
次に、部屋のカビへの対処法を説明します。
発生した場所毎に、掃除法が若干異なります。
ですが、基本は換気→装備着用→塩素系漂白剤等で掃除→水流し又は雑巾等で拭き取り、という流れです。
なので、記事に記載していない場所の掃除も、下記のお手入れ法を応用した物になりますから、しっかり覚えておきましょう。
各場所のお手入れ方法は下記になります。
浴室
掃除に必要な道具と掃除法は以下です。
必要な道具
- ブラシ
- メラミンスポンジ
- デニム生地
- ゴム手袋
- マスク
- ゴーグル
- 靴(長靴等の防水の物)
- 浴室用の洗剤
- クレンザー
- 塩素系漂白剤又はカビ取り剤
掃除法
1.ドアや窓を開け、換気扇を回して換気する
2.ゴーグル、マスク、ゴム手袋、靴を装着する
3.浴室全体に洗剤を付ける
まず浴室全体に水をかけます。
次に、水に濡らしたブラシに浴室用の洗剤を付け、壁全体を擦ります。
目地の汚れが取れない場合、湿らせたメラミンスポンジで擦るか、湿らせたデニム生地にクレンザーを付けて擦り付けます。
但し、力の入れ過ぎは禁物です。
タイル等の素材を傷つけてしまうと、その傷から新しいカビが発生しやすくなってしまいます。
特に、浴槽の栓や排水口付近のゴム部分等の、柔らかい物はすぐダメになりますから要注意です。
4.洗剤を洗い流す
シャワー等を使い、水をかけ汚れと洗剤を流しましょう。
カビが生えている箇所には、塩素系漂白剤を付けます。
この時、塩素系漂白剤が手足や顔に付かない様、注意しましょう。
5.少しの間放置する
カビの色が消えるまで十数分ほど放置しておきます。
色が消えない場所は、湿らせたデニム生地にクレンザーを付けて擦りましょう。
その後、水を掛けて汚れと漂白剤を流し落とし、室内を乾燥させます。
流し台の下
掃除に必要な道具と掃除法は以下です。
必要な道具
- 雑巾
- 綿棒
- 塩素系漂白剤又はカビ取り剤
- ゴム手袋
掃除法
1.ドアや窓を開け、換気扇を回して換気する
2.ゴム手袋を装着する
液が垂れて手に付くのを防ぐために、手袋の端を折り返しておきましょう。
3.カビ取り剤を塗りつけて雑巾で拭く
綿棒にカビ取り剤を付け、カビの生えた部分に塗りつけます。
その後、約数十分分程度間をおき、水を湿らせ絞った雑巾で汚れとカビ取り剤を拭き取って、乾燥させたら終了です。
畳表
畳は水を吸い込んでしまうと中で腐食する恐れがありますから、掃除のためとはいえ、水を使う訳にはいきません。
ですので、作業には消毒用アルコールを使います。
掃除に必要な道具と掃除法は以下です。
必要な道具
- ブラシ
- ブラシの先が入る程度の大きさの小分け容器
- 雑巾
- マスク
- ゴム手袋
- 消毒用アルコール
- スプレー容器
掃除法
1.ドアや窓を開け、換気扇を回して換気する
2.マスク、ゴム手袋を装着する
シンク下の時と同様に、手袋の縁は折り返しましょう。
3.消毒用アルコールを吹き付ける
スプレー容器に消毒用アルコールを移し、カビ全体に向けて吹き付け、その後数十分程度間をおきます。
4.ブラシでカビをかき出す
消毒用アルコールを小分け容器に移してブラシを浸し、畳の目に沿ってブラシを動かし、目地の中のカビをかき出していきます。
かき出している途中、適宜アルコールの容器にブラシを浸して洗いましょう。
この動作をカビが取れるまで繰り返します。
5.仕上げに雑巾で拭く
カビが取れたら、再度スプレーで消毒用アルコールを吹き付け、最後に畳の目地に沿って乾いた雑巾で拭き取れば、終了です。
窓ガラス
掃除に必要な道具と掃除法は以下です。
必要な道具
- 雑巾
- ゴム手袋
- 塩素系漂白剤又はカビ取り剤
- 中性洗剤
- スプレーボトル
掃除法
1.ドアや窓を開け、換気扇を回して換気する
2.マスク、ゴム手袋を装着する
シンク下の時と同様に、手袋の縁は折り返しましょう。
3.スプレーボトルで洗剤を吹き付ける
スプレーボトルに洗剤を移して吹き付け、数十分程度間をおきます。
4.雑巾で拭き取る
雑巾で中性洗剤を拭き取ります。
カビが取れない場合、スプレーボトルの中身を塩素系漂白剤に替え、カビの生えた場所に吹き付け、再度数十分間をおきます。
その後、雑巾で漂白剤と水気を拭き取り、乾燥させれば終了です。
カビは人の役にも立っている

上記だけ見ると、カビはただの悪者の様に感じますが、決してそうではありません。
私たちの生活を支えてくれているパートナーもいます。
みそや醤油はコウジカビがいなければ出来ませんし、チーズを食べられるのも青カビや白カビのおかげです。
ですから、もしカビがいなければ、しいたけが入っていない塩砂糖味のすき焼きを食べる事になります。
きのこもカビの一種ですからね。
又、「味噌ラーメンが食べたい」時にも塩ラーメンしか食べられません。
この様に、カビは身近な所で私たちの役立ってくれてもいるんです。
まとめ
カビを予防する際のポイントを、再度下記に記載しておきますので、お掃除の際に役立てて頂ければと思います。
- 埃や食べカスを掃除する
- 布団やソファ等のダニを除去する
- 浴室を掃除する
- エアコン内部を掃除する
- 換気する
- 湿度を下げる
- 家のレイアウトを変える
今や年中発生する様になった室内のカビ。
その元になるのは、私たち自身が生活で出した汚れです。
ですから、それを取り去らない限り、カビは増えます。
健康を害しないためにも、家も心も綺麗にしておきたいものですね。